ネコミミにひかりあれ

エッセイを書いています。

2023

文学フリマに出たことで、文章を書くということに向き合った一年だった。

文学フリマに出ようと思ったのは2023年5月の文学フリマに行ったからだった。
その時は一般参加で、一方的に知っている人々の本や自分の文章が載っているらしい無料配布の本を目当てに行ったのだけど、
あまりの熱にあてられて自分もやりたいと勢いで申し込んだのだった。それが5月末。
申し込んだからには本を作らないといけないし、どうせ作るなら文庫本を作りたい、と思ってからが長かった。
文庫本を作るということは文字を書くということで、印刷所の方に「大体何文字ぐらいあれば文庫本になりますかね」などと馬鹿丸出しのことを聞いているのが10月だった。大体2万文字とかそのぐらいだったはずだ。

ブログと似たようなテーマだけど本用に文章を書くことにした。
自分がずっと考えているテーマを本にするために改めて書くのは楽しかったが、
ウェブに漂わせていればいつでも加筆修正できる文章が、
本にするとそこで固定されて書き直せないということが少しだけ怖かった。
自分の考えていることに一度区切りをつけないといけない。

テキストエディタで書いた文章をwordに読み込んで縦書きにし、PDFにしてiPadiPhoneで文字校正のためにずっと読み続けていた。
そうすると自分が書いた文章でも冷静に読めるのが不思議だった。
書いた自分と、読んだ自分がいて、いつもなら書いた自分が出てきて文章のおかしなところを直せないのに、
何度もPDFを読んでいると「この文章のつながりはおかしい」とか、そういうふうに冷静な目が生えてくる。

文学フリマの会場に無事に自分の本が届いているのを見た時、今度は固定した自分の考えが人に届いてしまう、と妙に焦って、そのあと少し期待した。
誰かに読まれてその感想を受けるのは嬉しいかも、批判だと怖いかも、文章で繋がるのは楽しいかも。
ブースに立っているとき、私に対して「この本が欲しくてきました」と言ってくれた人が数名いたこと、DMでメッセージをくれた人がいたことが、すごく嬉しかった。だから来年も本を作ろう、みたいな気持ちになっている。

表紙イラストのモデルになったイッヌです

そして文章を書く日々を通じて、やっぱり私は文筆家になりたい、と思った。
文筆家兼会社員として人生を歩んで行きたくて、だから文筆家といま名乗ってもいいんだけど、いつかは商業出版をしたいなと思っている。
そういう夢をはっきり自覚したのは文学フリマに出たからだ。2023年。今年に。
肩書きは自分で名乗っていいということは堀江敏幸の「留守番電話の詩人」で読んだけど、なにか人に「私はこういうものです」と言えるものが欲しい。

文学フリマに出ると決めてから、文章を書き続けている。もうずっと書いていたけど、今はもっと意識的に書いている。
確か僕のマリさんだったと思うけど、日記を書くというのは、文章を書くための筋トレになる、みたいなことを読んだ。
元々日記は書き続けていたけど、アナログの手帳に書いた短いものだったので、それを元に夜な夜なパソコンで文章を書き続けている。

でも、もっと書きたい。もうずっと文章を書きたい。
今年Macbook Airを買い替えたことだし。来年も書き続けると思う。


この記事は2023 Advent Calendar 2023のために書かれた記事です。
adventar.org

前日はkzysさん、明日はhiromisugieさんです。