ネコミミにひかりあれ

エッセイを書いています。

本棚の前で背中を丸めて読むのが好き

昔は家に本棚が何個もあった。3、4個あって、その全てにぎっしり本や漫画や雑誌が詰まっていた。
それを本棚の前に置いた小さい椅子に座って読むのがすごく好きだった。
本棚の上に付けられたスポットライトと相まって、そこが世界の中心で、漫画や本の世界により没頭できるような気がしていた。
もう何十年も前の話だ。

いまは小さい椅子は本棚の前に置かなくなったが、本棚の前の床に腰掛けて漫画を一気読み、みたいなことはしてしまう。
本棚の前で背中を丸めて縮こまって読んでいると、やっぱり本の世界に没頭できるような気がしてしまうのだ。
机に向かって本を読むと途中で眠くなってしまうけど、本棚の前だとあまり眠くならない。

何度も読んだ本は何度も読んだなという感じがあって、堀江敏幸の「河岸忘日抄」はなくしたからもう一冊買ったし、「おぱらばん」は昔下北沢にあった憧れていた喫茶店のブックカバーがついていた。

本を手に取ればそれを買ったシチュエーションや読んでいた場所までなんとなく蘇ってくるから、
本棚というのは(本もそうだけど)少しだけタイムマシーンになる部分がある。
もちろん物理的に地層になっているというのもあるけども。

いつのGINZAの付録だったか忘れてしまった(本誌はおそらく処分してしまった)「銀座百点」や、
友達が昔作っていたフリーペーパーがあったりする。今でもたまに読み返している。
いつか「銀座百点」に書いてみたい。だって銀座に最近よくいるんだもんね…。

横浜DeNAベイスターズがなんとなく好きだな…という気持ちになったのは中畑監督になってからだからかなりニワカなのだけど、
そのニワカな気分もいいじゃんと肯定してくれたのが「ポテンヒットガール」で、いまも読み返してニコニコする。
主人公はかなり"ガチ"だけど、漫画全体の雰囲気がすごく良くてさ。

そして大量の手帳やメモ、まだ処分できずに本棚のなかなかなスペースを占めている。たまに読み返しては、過去の己の行いを恥じたり、昔欲しがってたものは手に入ってるな、と確認したりする。

他人のバッグの中身やポーチの中身を見るのが好きで、YouTubeの履歴がそういう動画で埋まっているのだけど、
他人の本棚を見る機会はあまりない。あまりにもパーソナルな領域だからなのか、それともそういう動画や記事があるけど見つけられていないのか。
(たぶん後者だと思う)


今週のお題「本棚の中身」