ネコミミにひかりあれ

エッセイを書いています。

近所のおばさん達がどんどん小さくなってゆく

パラサイトシングルとして四半世紀以上生きてきた。三十路を越えたところだ。最近は子供部屋おばさんと言うらしい。パラサイトシングルと会社の人に言ったらポカンとされたので、古い言葉なのかもしれない。
幼い頃から我が家には近所のおばさん達が集まってきていた。私はそこで一種アイドルのような時代を過ごしたことがある。だから大体の近所の人とは顔見知りだし、会えば「◯◯ちゃん」と呼んでくれる。それらも祖母が亡くなってからは無くなった。祖母の友人たちだったから、皆もういい歳だし、祖母より先に亡くなったり、施設に入った人もいた。

代わり映えのしない道を歩いていると、なんとなく見たことがある背格好の人が向こうから歩いてくる。
こんなに白髪だっけ?でも、あのひとかもしれない。

隣に住んでいるおばさんだった。おばさんという歳ではなくて、もうおばあさんだろうか。最後に立ち話をしたのは何年か前の暑い頃だった。お葬式に行くんだけど喪服が小さくなっちゃって、ぶかぶかなのよ、とおばさんは笑っていた。

ひさしぶりに会ったおばさんはおばあさんになっていたし、あっけらかんとした、明るい喋り方はいつものままだったけど、耳も遠くなっているようだったし、なにより縮んでいた。

身勝手だけどかなり寂しかった。私が三十路になったのだから向こうだって何歳なのだろう。70ちょいだろうか。もっとか?
このまま子供部屋おばさんとしてずっとずっと過ごしていると、近所のおばさん達をどんどん見送ることになるだろう。小さくなってゆくおばさん達。もう長いこと会っていなくても、なぜか背格好でそれと分かるおばさん達。

私の祖母は少し前に、祖父は結構前に亡くなったので一足先に近所のおばさん達を待っていると思う。なんとなく思い出すのは、祖母がまだ元気だった頃の台所だ。おばさん達が何人も集まって、お茶を飲みながらお茶菓子と煎餅を持ち寄って、なんだかんだと話していた。幼かった私はそこに混ざるのが好きだった。
またみんなでオススメの医者情報とか話してるんじゃないでしょうか。