ネコミミにひかりあれ

エッセイを書いています。

目に留まらぬ花もある

ふと見かけて、い、一条ゆかり?!と思ったので購入して、読み終わった。
前書きの文章がとてもよかったから否が応でも期待が高まっていた。そうだ、私は…私は、自分が憧れる人生の歩み方や人生の使い方をしている人を知りたいのだ。

なぜ、自分にはできないと思うのか。うまくいかないときにもめげず、腐らず、頑張った先で花を咲かせた女の話を、ほとんど知らないからではないだろうか。(p.4 はじめに)

この「はじめに」はすごく良い。
そうだ、私は頑張った先で花を咲かせた人の話を知りたい…そう思って読み進めた。
結論から言うと、花は煌びやかすぎた。そもそも、知っている花だったというのもある。

語られるエピソードは面白いものもあれば知っているなあ…というものもあった。
その中で一番読み応えがあったのは斎藤薫だ。
彼女の文章に少し苦手意識があったのだが、仕事は嫌いで月曜日を憎んでいる、というのに少しくすっとしてしまった。あの斎藤薫でさえ、そうなのだ!
美容誌でその名を見ない日はない斎藤薫でさえ。
それに少しだけ勇気づけられた。

語られた言葉を構成しているものだから読みやすいのは当然なんだけど、もう少し引っ掛かりがあって欲しかった。
私のような期待値で読むと面食らうだろうな、と思う。
ただラインナップの時点でそれは察しておくべきだった。
(超一流の方々ばかりなので)

読み終えてから、自分の人生とか、自分が求めていた方に近いのは「女と仕事」だった、と思う。

これも結構古い本になったので、新版が出ないかなあ、と思う。
人生をどうにかしていく技術、試行錯誤のすえにどうにか咲いた花を大事にしていくこと、そういうのを読んでみたかった。

だから、柴田理恵の話に出てくる「自分では女優だと思っているのに鏡に映った自分は掃除のおばさんでしかなかった」という話がすごくよかった。
それをどういうふうに乗り越えたのだろう、と思ってページをめくって、それは劇団の仲間の助言を聞くこと、と話がそこで終わっていた。
なぜ聞こうと思ったのか、聞く気になったのか、みたいな話をもう少し読みたかった。

ただ煌びやかな花が咲く、変な言い方をすると「女でも咲く」というのを知らないとそれを目指すのは難しいから、こういう本がもっと溢れて欲しい気持ちもある。
どこまでも自分の知らぬ世界、別の世界の話ではあるけど、それが存在することと手を伸ばさぬことは両立する。

ここでもやはり「頑張ってないなー私は。」と思うのだけど。