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これに行ってきました。
既に公式でレポートが上がっているので、
正確さとかはここを見たほうがよさそうです。
togetter.com
撮影自由だったので写真撮ってる人が多かったな。
アルバム制作とかに関する話は公式の方が良さそうなので、
ここでは付録的なところだけを書き抜きます。
テープ録音してたわけじゃないので、語の正確さは無く、
あくまで「こういうような会話だったよ」という感じです。
ものについて
ナ ものはどうですか?カメラとか、車に乗ったりとかはしますか?眼鏡とか。
坂 目には自信があったんですよ。…目の輝きじゃないですよ。
ナ そんなこと一言も言ってないんですよね〜
坂 (笑)
いやね、譜面を書いてて、なんだか暗いなあって思って部屋を明るくしてもらったりしたんだけど、解決しなくて。
初めて老眼鏡をかけたとき、いかに自分が見えてないか気づかなかったんです。
女性の美しさも見えてなかったんだって!(笑)
ナ あのねー、僕話聞いてて思ったんです。坂本龍一っていうピアノの人と、YMOとか…スネークマンショーみたいなのと
じゃれちゃうおっさんと、基本的にどこに坂本龍一を置いておきたいんですか?
坂 特に無いですね。
ナ ないんですか?
坂 全く無いです。ファンというのはそういう…変わらないで欲しい、と思うものだと思うんです。
ぼく、ジェイムズ・テイラーとキャロル・キングの「You’ve got a friend」がすごく好きで。武道館でやるっていうんでチケット取って行ったんですけど、ま〜やらない。知らない曲ばっかりやる。アンコールでやっと「You’ve got a friend」歌ってくれて、それ聞いて満足して、すぐ帰りましたけど(笑)。
ぼくも10年ぐらい、戦メリ弾かない時期があったんですよ。どこに行ったって戦メリでね、ふざけんな!と。
でもね、ぼくも同じだったんだなって…深く反省して、それからは必ず弾いてます(笑)。
コモンズスコラ各巻についてのコメント
1. バッハ
坂 あまりにもあまり…普通だし。
ナ いいじゃないですか。
坂 個人的な理由で…自分の音楽の原点であり続けているので、1巻目にしたんです。
ナ 教授の原点ってことですね?このあとバカ売れですよこれ。
坂 そ、そういうことじゃないんですよ…。いやね、最近ね、ピアノの練習をしてるんですよ。
ナ 言ってることがよくわかりませんが
坂 ぼくって本当に練習嫌いで。本番が練習みたいなもんで。
ナ かっこよすぎやしませんかそれ
坂 数年前まで家にピアノがなかったんですよ。それを口実に練習しなかったんです。
でも、何年か前に誕生日プレゼントでもらっちゃって。
やらざるを得ない状況になっちゃって。
ぼくはピアニストじゃないですからね。仕事として弾くことはもちろん出来るんですけど。
ピアニストになるような子供はすごい練習量でしょう。一日に何時間も弾いて、休みの日には12時間とか…。
でもぼくは20〜30分ぐらい。で、一日に20〜30分練習するときに何を弾くのかって、バッハしか弾かない。
ナ 戦メリとかは弾かないんですか?
坂 弾くわけないじゃないですか!(笑)
人のために弾くのもイヤだったのに。家で弾いてたらマヌケですよね…(笑)。
これ、映画音楽の巻までは全巻コメントしていたんですが、
個人的に好きな部分のみ抜粋しています。
10.映画音楽
坂 これは思い入れがすごく強い。もちろん映画が好きだし。
最近思いだした、最初の映画の思い出があるんです。
ナ なんですか?
坂 物心ついた直後ぐらいに、母に連れられて暗い映画館へ行った、と。
白黒のを見てたんです。内容は覚えてないんですけど、テーマ音楽をよく覚えていて。
ラジオなんか聴いてて、そのテーマ音楽がかかると「これだ!」って言ってた、と母が話してくれまして。
それはね、なにかっていうと…フェリーニの「道」なんですよね。
ナ へえええ。それは、本の中に入ってるんですか?
坂 いや、そのことは入ってないんじゃないかな。本当に最近思いだしたから。
ナ 言ってないんじゃないかなって…。
坂 かけます。(プレイヤーを操作しながら)…あれ、BOSEになっちゃった…よし、できた♪フェリーニの道
坂 ぼくが子供の頃は流行っていてね、映画も流行っていて。
沢山の人が見に行ったんだそうです。
ナ 嬉しそうですね。
坂 これは原点かな。
ナ なんかラジオっぽいですね。
坂 そうですか?
ナ や、このやり取りが。
坂 そうかな。…日本で上映された最初のフェリーニの映画だと思うんですけど、大ヒットしたんですよね。
ナ 映画音楽って、ちなみにどう作るんですか?(子供が言うような感じで)
坂 そんな子供っぽく(笑)。
ぼくが作りたい!って言っても、作らしてくれないわけですよ。頼まれないといけないんです。
依頼されるような人じゃないと駄目なんですよ。
ナ なんか質問をはぐらかされたなあ。
坂 いやいや。それでね、映画を見て、脚本を読んで、原作があれば読んで、監督と突っ込んだ話をしてね…。
すべてインプットして、そこから始めるわけですね。
映画は完成していない場合が多くて、映像が日々変わっていくんです。
昨日作ったものが今日は使えない。シーンがなくなってるんですから。
…もう一つ、大事な戦いがあるんです。
ナ はい。
坂 監督に、いかに納得させるか。
最近の作り方は、ある音楽を仮ではめ込んでいく、というものです。
だから、仮ではまってる音楽がこっちに来ちゃう。
ナ どうなんですか、それ。
坂 最悪でしょう。
ナ ですよね。
坂 監督やスタッフは毎日毎日それを聴いているわけで、頭に入り込んでいるから、一音でも動かすと「それは違う」とか言われるわけ。
イヤでしょ。
みんなの頭にこびりついたものをひっぺがして、新しいものを作らないといけない。
「レヴェナント」も、監督が全部貼り付けてあってね。きめ細かく。それがまた良いんですよ…!
もうこれでいいじゃん、って思うんだけど、それを否定しないといけない。
でも最後まで変えなかったのがチャイコフスキー。何日も何日もやってね。
ナ それ、チャイコフスキーでいいんじゃないですか?
坂 ぼくである意味ないじゃん!
最後にはTシャツまで作ってね…「trust me」って。
とにかく録音させろと。録音するにはお金がかかるから、お金出してもらわないといけないんだけど…。
それで比べろ、と。素材は渡すけど選ぶのは監督だから。でもね、そこは勝ちました。
作ったTシャツはあげました。
…こういうのを、映画音楽やっている人はみんなやっているんですよ。
スタッフは知ってますけど、これで最後…二度とやりたくない、って毎日のように言いながらやってますよ。
だって人を納得させなきゃいけないから。
ライヒの他にテリー・ライリーの名前も出てましたが、
どのタイミングで出したか忘れたのでカット。
asyncについて
ナ どれぐらい前から制作されてたんですか?
坂 そもそもは2014年にソロアルバムを作ろうと企画してたんですけど、病気になってやめたんですね。
メモとかスケッチもあったんですけど、捨てちゃったから何もアイデアがなくて。
「何がつくりたいんだろう自分は?」って思ったときに、
耳にしたい、聴きたいものを作りたい…って思って。
お金が欲しいからとか、モテたいからとかじゃなくてね。
一番最初のアルバム「千のナイフ」を作った頃、馴染みの飲み屋があって。店員とも仲良くてね。
アナログ盤が出来たときにいそいそと飲み屋に持っていってね、今できたんだって。
かけてくれてね、しばらく聴いてて、その仲良かった店員が、
「これじゃモテないっすよ!」って言うんですよ。
すごくショックでね。モテるために音楽作ってるのかよ!って。
…動機は色々ありますが、自分が聴きたい音であり、音楽を作りたい。
そう思ったときに、終生リスペクトをし、乗り越えることの出来ないバッハやドビュッシーを聴いて、
それで満足ならそれでいい、でも何かやらないと進まないので、
なんでもいいから打ってみよう。と、バッハの曲から始めてみようかと思って、好きな曲をアナログシンセで
アレンジしてね。5曲も。かなりいい曲なの。毎日聴いてね。
自分の音楽じゃないんだけど、いいなーって。
自分好みの音色に…霧がかかったような感じなんですよ、グレーのね。
何回も聴いてると、かなりいい。細野さんもね、新しいアルバムっていうとオールディーズのカバーでしょ。
ぼくの次回作がバッハでもいいかな、なんて思ったりして。
かなりいいけど満足はできない。試行錯誤しました。石を叩いてみたり、場所の音を取るために一泊で林の中へ行ってみたり。
そういうものを編集して聴いてみたりね。少しずつ好きな音も出来ていくんです。
楽器も色々買いました。生まれて初めてシンバルとドラを買ってきてね。
それは別に、普通の叩き方をするわけじゃなくて色んな素材でこするんですよ。
コーヒーカップとかいい音がするんですね。こするならコーヒーカップです。
で、少しずつそういうことをし続けてもどういうディレクションのものにしたらいいのか分からなくて、四ヶ月。
この方向でもうまとめようと、どっかで決めたんですね。
ナ 見えたというよりも。
坂 四ヶ月試して、何が自分にとって大事か分かんなくて。もっと言えば失ってみて分かるというのもあってね。
8月。それが2016年…新宿に音を取りに行ったりとか。
やたら細野さんの名前を出す教授。
ちょっと数えたら5回ぐらい出してた。(幸宏さんの名前は1回ぐらい)
特にこの「細野さんがオールディーズのカバーなら自分はバッハのカバーでいい」という話が心に残りました。