ネコミミ新世界

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南国の空の下実家の車は走る

実家の車を処分するとき、というのは今年の1月ぐらいなのだけど、
16〜17年ぐらい走った車を処分することで話が進んでいた。
一度そういう話がでたとき猛反対した父も、
「もう油が漏れて仕方ない。それを塞いでまで車検に通すのは、金を食い過ぎる」
と、今回は賛成なのだった。

父の10年以上の付き合いになる親友に、そのようなことを言われたらしかった。
曰く「車検に通すにも金がかかるし、シェアリングを利用すればいい」という感じで。

「どうも車の業者が引き取ってくれるらしいんだけど、こいつここから西の方に行くみたいだ」
「西?」
「港にでも行くんじゃないの」
「なんで?」
「油が漏れてるところ適当に塞いで、東南アジアのほうにでも持ってくんじゃねえの」

私が子どもの頃もそういうことがあった。
生まれた頃から乗っていたVWの文字が輝く黒い車。
「車を処分する」と聴いて、ぎょっとして、大泣きしたのを覚えている。

「必要な部品を取ってスクラップにしちゃうんじゃなくて、
生まれ変わるだけだから、大丈夫。ゴルフは元気だよ」
と、両親が慰めてくれたのを覚えている。
おそらく母が。

車がいなくなるとき、ハンドル部分の、VWのエンブレムをもらった気がする。
結構大事に持っていたのだけど、あれはどこにやったのだろう。
ゴルフという名前の車は、私たち家族をどこへでも連れて行ってくれた。

そして今回である。

16〜17年ということで、かなり長い間、家族を色々なところへ連れて行ってくれた。
父が車の改造みたいなことに少しだけハマったとき、タイヤがうまく嵌ってなかったことを、
通りすがりのバイクの兄ちゃん(ちょっとコワい感じの)がコンコンと窓ガラスを叩いて知らせてくれたこともあった。

母が怯えながら窓をあければ、
「あの、タイヤちょっと変なんで、どっか止めて見てみたほうがいいっすよ」
と彼らは言って、走っていった。

車がいなくなった車庫はがらんどうになった。
猫がたまに乗っていたこともあったけど、そういうこともない。
最近になって暑くなり、ふと「あいつどうしてるかな」と思う。
父の言うように、油が漏れている箇所を適当に塞いでもらったら、
南国の暑い空の下で誰かに乗られているかもしれない。
そういう風になっているといいし、なっていると思う。

なんとなくなんだけど。