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ネコミミ新世界

日記その他もろもろ

ファミリーレストランのなまぬるさ

ほんとうに久しぶりにファミレスに行った。
一緒に行った人間が「何年ぶりだろう」とつぶやいていたけど、
私も(何年ぶりだろう)と心の中で反芻した。

周りに目をやれば、奥の席には幼児がきゃあきゃあ騒いでいて、
隣の席ではサラリーマンらしきおじさんがスマホ片手にぼんやり定食を食べていた。
この都会のど真ん中のファミレスで。
あっ、と目の前にいた人間が隣のおじさんの方を見て、
私に(よけろ)という仕草をした。
ちらりと見れば、おじさんは味噌汁をひっくり返していた。
目の前の人間が「かわいそうに。スマホびしょびしょだよ」と聞こえない声で言うので、
私はその悲惨さを目に入れないためにも、メニューに目を通した。

メニューはだいぶ様変わりをしており、
私が好きだったメニューはもうほとんど無くなっているようだった。
「知床」という地名を初めて覚えたのは、このファミレスの唐揚げからだった。
しれとこどりのからあげ。と、ワンセットで覚えていたので、
知人が「知床に行く」と話していたのを見、鶏肉の唐揚げが頭に浮かんでいたのだ。

その知床鶏の唐揚げも、ラザニアも無くなっていたけれど、
チーズと卵がたっぷりかかっている(らしい)デミグラスソースのオムライスは残っていた。
小学校時代の知人に再会したような気分になったので、迷わずそれを頼む。

…と、出てきたものは昔の印象と全く変わらない、
食べ終わる頃には飽き飽きしてそうなオムライスだった。

一心不乱にそれを食べたけれど、昔よりも味は薄かった。
中に入っているチキンライスも味がぼやけていて、
昔の印象ほどおいしいものではなかった。

さて、ファミレスというと、私は自分の人生を少しだけ決めた日のことを思い出す。

私立の中学校を受験する、という経験は、
私の世代ではまだクラスの半分ぐらいの子に関係がある話だった。
今はもっと多いと聞く。
その頃、私は地元の中学校へ行くか悩んだ末、
自分の被害妄想を持て余して、一度は「やめる」と言った中学受験を、
「ほかの中学校へ行きたい」という理由で再会した。
小学校六年生の秋のことだった。

それから勉強をし(時を同じくしてお受験ドラマを放送していた)、
ようやく受験をしたのはいいけれど、結果はその日の夜にならないと分からない。
電報で届く結果を待ちながら、小学生とその家族は、答え合わせをする。
自分の回答した記憶を頼りに、自己採点を行って、心の準備をしておくのだ。

自己採点を少しだけ行ったのが、このファミレスだった。
でも、なにを食べたのか覚えていない。
今日みたいにぼやけた味ではなかったはずだと思うけれど、
そもそもなにを食べたのか思い出せないので、味なんて思い出せる訳がない。

ファミレスへ来るとこういうことを思い出してしまう。